新規参入2チームはどこまでやれる?
2026-27シーズン、SVリーグ男子に北海道イエロースターズとフラーゴラッド鹿児島が新たに加わる。
北海道YSは2025-26シーズンのVリーグで30試合26勝4敗。F鹿児島も28試合20勝8敗。ともに多くの勝ち星を積み重ねてSVリーグへやってくる。
では、この2チームはSVリーグでどこまでやれるのだろう。
Vリーグでの勝敗をそのままSVリーグに当てはめることはできない。対戦相手のレベルが変わるからだ。さらに、両チームともSV参入を前に選手が入れ替わっている。
そこでJVDBでは、昨季Vリーグで記録した数字をSVリーグ水準に換算し、そこへSVリーグから加入した選手の昨季実績を加えて、2026-27シーズンの2チームを試算した。
まず、Vリーグの数字を「SV換算」
最初に必要なのが、VリーグとSVリーグのカテゴリー差をどう扱うかだ。Vリーグで高い数字を残した選手が、SVリーグでもまったく同じ数字を記録できるとは限らない。そこでJVDBでは、VリーグとSVリーグの両方でプレーした選手の成績を比較した。カテゴリー変更の影響を見るため、両シーズンでアタック打数50本以上を記録したアタッカーに限定。セッターや、片方のカテゴリーで出場機会が極端に少ない選手は対象から外した。その結果、Vリーグで記録した攻撃力をSVリーグに換算すると約77%となった。今回はこの77%を一つの基準とし、さらにブロック、サーブ、サーブレシーブ、相手に許した得点なども加えて総合的に試算した。これは順位を当てるための予言ではなく、異なるカテゴリーの2チームを昨季SVリーグとできるだけ同じ物差しで比較するためのJVDB独自の試算である。
北海道YS――26勝4敗、17試合がストレート勝ち
北海道YSは昨季30試合で26勝4敗。獲得82セットに対して失ったのは21セットで、セット獲得率は79.6%だった。さらに30試合のうち17試合を3-0で勝っている。接戦を拾い続けて26勝したというより、Vリーグでは相手にセットそのものを与えず勝った試合が多かった。今季も残る昨季主力に加え、SVリーグなどから新戦力が加わる。中でも大きいのが張育陞で、2025-26シーズンのSVリーグで624得点を記録した。昨季北海道YSにいた選手はSV水準に換算し、SVから加入した選手は昨季SVでの実績を加えると、攻撃面ではアタック、ブロック、サービスエースを合わせて約17.3点/セットという試算になった。
攻撃面では昨季SV上位グループの数字
同じ方法で昨季SV各チームを見ると、サントリー17.93、大阪B17.78、北海道YS試算17.3、広島TH16.67、日鉄堺BZ16.60、STINGS愛知16.59、東京GB16.27、WD名古屋16.14、東レ静岡15.82、ヴォレアス15.67、VC長野14.66となる。攻撃面だけなら北海道YSの試算値は昨季SVの上位グループに入る。ただし、バレーボールは攻撃だけでは勝てない。そこで、アタック決定率、相手に許すアタック決定率、ブロック/セット、サーブ効果率、サーブレシーブ成功率、得点と失点のバランスまで含めて総合評価した。
北海道YSの総合試算は約20勝24敗
守備、サーブ、サーブレシーブまで含めた総合試算では、北海道YSの44試合成績は約20勝24敗となった。これを2025-26シーズンのSVリーグに当てはめると7位前後に相当する。昨季はサントリー40勝4敗、大阪B36勝8敗、STINGS愛知29勝15敗、WD名古屋25勝19敗、東京GB21勝23敗、広島TH21勝23敗、日鉄堺BZ17勝27敗、東レ静岡14勝30敗、ヴォレアス11勝33敗、松本TD5勝39敗だった。もちろん北海道YSが7位になるという予測ではない。それでも、攻撃だけでなく守備まで含めた試算でも昨季SVの中位グループに入る数字が出たことは興味深い。
F鹿児島――20勝8敗の中身を見る
F鹿児島は昨季28試合で20勝8敗。獲得69セット、失ったセットは39で、セット獲得率は63.9%だった。攻撃を引っ張ったのが迫田郭志と長友優磨。迫田が531得点、長友が512得点で、2人だけで1043得点を記録した。しかも2人は今季も残る。一方で今季は選手の入れ替わりも大きい。そのため昨季20勝したチームを丸ごと使うのではなく、今季も残る選手の昨季実績を取り出してSV換算し、SVリーグから加入した選手の昨季実績を加えた。
F鹿児島は新戦力の上積みが最大のポイント
攻撃面で、現時点でJVDBの昨季データから計算できるF鹿児島の数字は約11.8点/セット。さらに攻撃、守備、ブロック、サーブ、サーブレシーブまで総合して昨季SVの勝敗モデルに当てはめると、44試合では約1勝43敗相当という試算になった。昨季SVでは松本TDが5勝39敗だった。ただし、ここでF鹿児島の評価を終えることはできない。今季は昨季JVDBに国内リーグでの比較データを持たない新戦力が多く、特に外国籍4選手は今回の試算にはほとんど反映されていない。実際の戦力がゼロという意味ではなく、現時点ではJVDB上で数値化できていないということだ。
新戦力が1セット4点前後を加えられるか
昨季SVでヴォレアスはアタック、ブロック、サービスエースを合わせて15.67点/セット、東レ静岡は15.82、東京GBは16.27だった。F鹿児島の現時点での試算は11.8。ヴォレアスの水準までなら約3.9点、東レ静岡なら約4.0点、東京GBなら約4.5点の上積みが必要になる。つまり、今季加わった選手たちが合計で1セットあたり4点前後を新たに生み出せるかが、一つの注目ポイントになる。
同じ新規参入でも注目点は違う
今回の総合試算では、北海道YSが約20勝24敗、F鹿児島が約1勝43敗に未計算の新戦力を加える形となった。ただし、この2つの数字は同じ意味ではない。北海道YSは昨季主力をかなり残しながら、SVリーグで624得点を記録した張育陞ら、すでに数字を持つ選手を補強した。一方のF鹿児島は選手の入れ替わりが大きく、今回の計算にはまだ実力を反映できていない新加入選手が多い。北海道YSは現在見えている数字がどこまでSVでも通用するか。F鹿児島はまだ見えていない数字がどれだけ加わるか。同じ新規参入でも、注目するポイントは大きく異なる。
開幕したら答え合わせ
開幕前のデータをSVリーグの物差しに置き換えると、北海道YSには中位グループに入る可能性を感じさせる数字が出た。F鹿児島は、新加入選手が今回の試算をどこまで押し上げるのかが大きなポイントになる。もちろんデータだけで勝敗をすべて予測することはできない。新しいチームでの役割、セッターとのコンビ、外国籍選手のフィット、シーズン中の成長など、開幕して初めて分かることも多い。だからこそ、開幕前の数字を残しておくと面白い。北海道YSの「20勝24敗」はどこまで近づくのか。F鹿児島の「まだ数字になっていない戦力」は何勝を生み出すのか。新規参入2チームはどこまでやれる? シーズンが始まったら、JVDBの実データでもう一度答え合わせしてみたい。