いよいよ女子全14チームが出そろう。数字と今季の変化から注目する14チーム×3人
タイでの先行開幕を経て、今週末はいよいよ女子SVリーグの全14チームが出そろう。
昨季の得点源が海外へ挑戦したチーム、新しいセッターを迎えたチーム、代表で経験を積んだ若手が戻ってきたチーム。同じ選手でも、周囲の顔ぶれが変われば、任される仕事は変わる。
昨季までの数字と今季の選手の出入りを手がかりに、各チームから3人ずつを選んだ。得点を重ねるアタッカーだけでなく、攻撃を組み立てるセッター、返球で支えるリベロ、途中出場から流れを変える選手にも目を向けたい。
NEC川崎――廣田あい、得点源が抜けた攻撃で存在感を
佐藤淑乃、和田由紀子という、日本代表でも得点源となった2人がイタリアへ移籍した。その攻撃を誰が引き受けるのか。まず注目したいのが廣田あいだ。
昨季は60セットに出場し、252得点。568本のアタックを打ち、決定率は41.5%だった。今季、攻撃を任される本数が増えたときにも、この決定力を発揮できるか。出場時間とともに、その数字の変化を追いたい。
ヌワカロールは昨季、1239本のアタックを打って決定率47.1%、合計668得点を挙げた。すでに多くの攻撃を担っていたが、今季はさらにボールが集まる可能性もある。廣田ら日本人アタッカーとの分担が、新しい攻撃の形を左右しそうだ。
若手では髙橋美鈴。昨季のアタックは19打数8決定と、まだ評価できるだけの本数は多くない。それでも主力の移籍は、新しい選手が役割をつかむ機会でもある。まずは、どんな場面でコートに立つかに注目したい。
埼玉上尾――権田寛奈、新キャプテンとして迎えるシーズン
権田寛奈は、新キャプテンとして今季を迎える。以前のコラムでも取り上げたネット際の働きに加え、選手の入れ替わったチームを率いる役割にも注目したい。センターからの得点が増えれば、サイドの攻撃にも幅が生まれる。
リベロの岳野ひかるは、岩澤実育のアメリカ挑戦によって、あらためて目を向けたい選手だ。昨季も175セットに出場し、サーブレシーブを586本受け、成功率60.4%。すでに多くの返球を担ってきた実績がある。今季はその守備を、どのような組み合わせで生かすのか。
山地梨菜は77セットで307得点、1セット平均3.99得点を挙げた。黒後愛も海外へ移った今季、攻撃を担う時間が増えるか。昨季の得点ペースを、より長い出場時間の中でも維持できれば心強い。
PFU――川添美優、大熊紀妙、バルデスの攻守に注目
170cmの川添美優は、昨季522得点、アタック決定率37.5%。以前のコラムで取り上げた得点源を、今季も追っていきたい。外国籍選手もいる攻撃陣の中で、どんな場面のボールを託されるかが見どころになる。
大熊紀妙は363得点に加え、サービスエース24本。攻撃で決めるだけでなく、サーブから相手の攻撃を制限し、得点のきっかけをつくれる存在だ。
バルデス メリーサは633得点、アタック決定率46.9%。サーブレシーブ成功率も60.0%だった。得点力と返球の両方を持つ3人が、今季はどう仕事を分担するのか。攻撃の本数とレシーブの受数を合わせて見ると、それぞれの役割が見えてくる。
富山――代表でも活躍した山口真季を中心に
まず挙げたいのは山口真季。昨季はブロック136本、1セット平均0.82本を記録した。代表でも活躍した経験を、今季のリーグでどう発揮するか。相手の攻撃を止める力に加え、センターからの攻撃にも注目したい。
畑葵は、川添とともに以前のコラムで取り上げた170cmのアタッカー。昨季は82セットに出場し、アタック180本を決め、決定率37.0%だった。攻撃陣に新しい選手が加わる中で、出場機会をつかみ、自分の得点を積み重ねられるか。
リベロの浦山絢妃は、サーブレシーブ成功率67.4%。返球が整えば、山口のセンター攻撃も使いやすくなる。アタッカーの数字とともに、その攻撃を可能にする後方の働きも見ておきたい。
大阪MV――新戦力の挑戦と、西崎愛菜の次の一歩
古川愛梨は、東レ滋賀で昨季312得点。867本のアタックを打った経験を、新天地でどう生かすか。強力なアタッカーがそろう中で、どんな役割をつかむのかが楽しみだ。
新加入のセッター、赤星七星は昨季137セットに出場した。大阪には塩出仁美、東美奈がいる。その2枚のセッターに、赤星がどう食い込むか。先発争いだけでなく、途中から入った際に攻撃の流れを変えられるかにも注目したい。
西崎愛菜は、昨季の決勝で悔しい思いをした。その後の代表での経験を、今季の守備にどう生かすか。昨季のサーブレシーブ成功率は65.5%。大きな試合を経験したリベロの、次の一歩を見たい。
姫路――野中瑠衣の攻守と、河俣心海の可能性
野中瑠衣は昨季534得点、サーブレシーブ成功率62.0%。得点と返球の両方でチームを支えてきた。攻撃陣の顔ぶれが変わる今季も、その働きは重要になる。
デンソーから加入した麻野七奈未は、昨季77セットでブロック42本。1セット平均では約0.55本だった。出場時間が伸びれば、シーズン全体の数字も大きく変わる。移籍先で、どれだけネット際の仕事を任されるか。
河俣心海は、高校時代から注目されてきた183cmの逸材だ。実績あるアタッカーがそろう姫路で、その高さと攻撃力をどのような場面で発揮するのか。出場セット数だけでなく、託される攻撃の本数にも目を向けたい。
デンソー――ロベルタの加入で攻撃はどう変わるか
一番に注目したいのが、新加入セッターのロベルタだ。男子ではブリザールの活躍もあり、世界で実績を重ねたセッターが攻撃にもたらす変化は、女子でも楽しみなテーマになる。
誰に多く上げるかだけでなく、返球が乱れた際にどんな攻撃を選ぶのか。ロザマリアら得点源を生かしながら、センターの攻撃をどこまで引き出すかを見たい。
柳千嘉は昨季80セットで135得点、アタック決定率40.1%。ロベルタとの組み合わせによって、攻撃の機会と決定率がどう変わるか。
山下晴奈は318得点、サーブレシーブ成功率58.6%。返球で攻撃を支え、自らも得点する選手だ。新しい配球の中で、攻守の役割がどう変わるかに注目したい。
Astemo――上坂瑠子を中心に、新しい攻撃をつくる
キャプテンの上坂瑠子は、自身の攻守に加え、選手の入れ替わったチームをまとめる役割を担う。新加入選手と、これまでの主力がどんな組み合わせで力を発揮するか。その中心にいる選手として見ておきたい。
佐藤黎香は昨季、アタック決定率49.2%、ブロック43本。センターから効率よく得点できることは、サイドの攻撃を支える強みにもなる。
新加入のカッティーノは、昨季675得点、アタック決定率42.5%。新たな得点源に攻撃が集まる中で、上坂や佐藤をどう組み合わせるか。カッティーノの得点だけでなく、周囲の攻撃機会の変化も追いたい。
群馬――島村春世の経験と、若手の挑戦
島村春世の加入は、大きな見どころだ。昨季は韓国でプレーし、代表でも存在感を示している。国内時代に積み重ねた攻撃とブロックの実績を持つベテランが、群馬のネット際をどう変えるか。
大阪から加入した志摩美古都は、昨季64セットで228得点。サーブレシーブ成功率60.0%も記録した。得点と返球の両方を担える選手が、新天地でどれだけ出場時間を伸ばすかに注目したい。
ベテランの加入に目が向く中で、若手では吉川すなほを挙げたい。新潟医療福祉大から加わったミドルブロッカーが、島村らと同じポジションでどのように出場機会をつかむのか。今季は、その挑戦の第一歩を見ていきたい。
東レ滋賀――花岡千聡、最優秀新人から攻撃の中心へ
花岡千聡は、昨季の最優秀新人賞を受賞し、初めて日本代表にも選ばれた。昨季117セットの出場経験を土台に、今季は選手の入れ替わった攻撃陣をどう組み立てるか。
古川、大川の移籍で、サイドの顔ぶれは変わった。新しいアタッカーとの組み合わせをつくる花岡の配球が、チームを見るうえで大きなポイントになる。
姫路から加入した渡邉かやは、昨季サーブレシーブ成功率64.7%。返球を整えることができれば、花岡の攻撃の選択肢も増える。
結束美南は84セットで222得点。今季、攻撃を任される本数が増えた際に、決定率も伸ばせるか。花岡との組み合わせを継続して見たい選手だ。
岡山――初のアメリカ人選手と、16歳の挑戦
ライトは、岡山に初めて加わるアメリカ人選手。これまでの攻撃に、どんな新しい選択肢をもたらすか。攻撃の本数に加え、レシーブも含めた役割に注目したい。
新加入の若泉 佳穂は、昨季483得点、アタック決定率35.7%。ライトとともに加わる得点源が、従来のアタッカーとどう攻撃を分担するかが見どころになる。
そして佐原菜々花は16歳の高校生セッター。国内最高峰の舞台で、どんな配球を見せるのか。出場機会をつかみ、アタッカーとの連係を深めながら、攻撃を組み立てる経験を積めるか。シーズンを通して成長を追いたい。
A秋田庄内――徳永優奈の守備力を、攻撃にもつなげる
徳永優奈は昨季、サーブレシーブ成功率61.6%。一方、アタックは300打数、決定率24.3%だった。返球という強みに、今季どれだけ攻撃での得点を加えられるかが注目点になる。
新加入セッターの加地春花は、昨季14セットの出場。移籍先で攻撃を任される時間が増えれば、経験を積む機会も広がる。新しいアタッカー陣との組み合わせを見たい。
ウィモンラットは、昨季ブロック84本、サービスエース27本。センターの攻撃だけでなく、ブロックとサーブからも得点を生む。選手が入れ替わったチームで、複数の得点手段を持つ強みがどう生きるか。
SAGA久光――井上未唯奈、今季の起用法が楽しみ
井上未唯奈は、昨季2枚替えで存在感を示し、代表でも光った選手だ。途中から入って得点をつくる役割に加え、今季はどんな起用があるのか。任される時間や攻撃の本数が増えたときに、その力をどう発揮するかを見たい。
西村弥菜美は、昨季チャンピオンシップMVP。優勝を支えた守備を、今季も注目の中心に置きたい。レシーブの成功率だけでなく、どれだけのボールを引き受けているかも、その働きを知る手がかりになる。
高橋葵は、サーブからの貢献が見どころだ。途中出場でサーブを打ち、そのまま後衛のレシーブにも残る。サービスエースだけでなく、サーブから相手を崩す働きと、続くラリーの守備を合わせて見たい選手だ。
A愛知――鴫原ひなたと佐藤彩乃、新しい攻撃をどう形にするか
鴫原ひなたは、今年の日本代表でも経験を積んだ。昨季までの攻撃とレシーブの実績に、その経験をどう重ねるか。カッティーノが移籍した今季、攻撃で担う役割にも注目したい。
キャプテンの佐藤彩乃は、新しい攻撃陣を組み立てるセッター。外国籍選手も含め、誰にどんな場面のボールを託すのか。途中から入るアタッカーとの組み合わせにも目を向けたい。
舟根綾菜は、その起用と攻撃機会を追いたい選手だ。先発でも途中出場でも、限られた本数を得点につなげることが役割の広がりにつながる。今季はどれだけ攻撃を任されるかが楽しみになる。
得点が増えたとき、それは決定率が上がったからなのか、攻撃を任される本数が増えたからなのか。レシーブの成功率に加え、受ける本数はどう変わったのか。 選手の出入りや起用法と合わせて数字を見ると、今季の役割が少しずつ見えてくる。実績ある主力の次の一歩も、若手がつかむ最初の機会も。全14チームが出そろう今週末から、それぞれの変化を追っていきたい。