外国籍3人が生む得点力――「3+1」の攻撃を、どう生かし、どう攻略するか
世界の強打者が3人、同じコートに立つ。そこにアジア枠の選手も加わる。今季のSVリーグでは、新たな組み合わせが生まれている。
外国籍枠3人を同時に起用する「オンザコート3」と、アジア枠を加えた「3+1」。開幕節では、その得点力を生かす布陣と、サーブやブロックで挑む選手たちの攻防があった。
※リベロとの入れ替わりは、通常の運用を前提に推定している。得点率は対象ラリーのうちチームが得点した割合。
東レ滋賀、前衛にそろった3人が全員得点
東レ滋賀のオボッサ、シュラゴウスカ、メリューシキナ。3人が前衛に並ぶS5で、攻撃陣が得点を重ねた。
S5は、セッターが後衛レフトにいるローテーション。前衛3人をアタッカーにできる配置だ。
開幕2試合の外国籍3人時、このローテーションでは相手サーブ18本に対して14回得点。サイドアウト率77.8%を記録した。
シュラゴウスカがアタック4点とブロック1点。オボッサがアタック3点とブロック1点。メリューシキナもアタック1点を挙げた。3人ともアタックで得点し、ブロックでもサーブ権を奪っている。
3人がそろった別の配置、S4でも19ラリーで13回サイドアウト。こちらは68.4%だった。
東レ滋賀の外国籍3人時は、レセプション側全体で60ラリー41得点、68.3%。そのうちS4とS5で37ラリーを戦い、27得点を挙げた。相手のサーブを受けてから得点する力が、この二つのローテーションで発揮された。
大阪MVはサーブから。ヴァスコンセロスとバトラーが連続得点を生む
大阪MVが外国籍3人を同時に起用した第2戦では、オルトマン、ヴァスコンセロス、バトラーがそろう布陣で得点を重ねた。
3人時の得点率は56.3%。特にサーブ側では、29ラリーで14得点を記録した。
ヴァスコンセロスのサーブでは8ラリーで5得点、バトラーのサーブでは6ラリーで4得点。サーブを打つ選手と、ネット際で待つ選手の組み合わせが、連続得点につながった。
第4セットには、その働きがまとまって現れた。
大阪MVが8―10と追う場面から、ヴァスコンセロスがサーブ。バトラーがブロックを決めて9―10とすると、次も大阪MVが得点して同点。さらにバトラーがもう一本ブロックを決め、11―10と逆転した。
3ラリーを通じて、オルトマン、ヴァスコンセロス、バトラーがコートにいた。サーブから始まり、ブロックで取り切る。オンザコート3の強みが出た場面だった。
A愛知の「3+1」。ヌットサラとマルティネスが得点をつなぐ
外国籍枠のマルティネス、クンズラー、ラディンズに、アジア枠のセッター・ヌットサラ。A愛知は第1戦で、この4人を同時に起用した。
3+1の布陣は89ラリー。チームは41得点を挙げ、得点率46.1%を記録した。相手サーブを受ける場面では40ラリーで26得点、サイドアウト率65.0%だった。
特に得点を重ねたのが、ミドルのマルティネスだ。
この布陣でアタック14点、ブロック3点。クンズラーもアタック4点、ラディンズはアタック、ブロック、サービスエースを1点ずつ記録した。
ヌットサラが前衛にいるS3では、相手サーブ11本に8回得点し、サイドアウト率72.7%。セッターが前衛にいる場面でも、3+1の布陣でサーブ権を取り戻した。
3+1の魅力は、強打者の人数に加え、その攻撃を組み立てるセッターも同時に置けることにある。A愛知の開幕戦では、マルティネスの14本のアタック得点が、その布陣の得点源になった。
攻略の入口はサーブ。平山から始まり、荒木が止めた
その3+1を相手に、SAGA久光もサーブから連続得点をつくった。
第1戦の第1セット、17―20。平山詩嫣のサーブから吉武美佳がアタックを決めて18―20。次のラリーも得点し、19―20と迫った。
さらに平山がサーブを続け、荒木彩花がブロック。20―20の同点に追いついた。A愛知は、この3ラリーをいずれも3+1の布陣で戦っていた。
最初の2ラリーではクンズラーのレセプションが崩れ、SAGA久光は切り返しから得点。3点目はA愛知がレセプションを返したラリーを、荒木のブロックで取り切った。
第1戦でA愛知が3+1を敷いた場面に限ると、平山のサーブでは7ラリーで3得点、荒木のサーブでも7ラリーで3得点。合わせて14ラリーで6得点、ブレイク率42.9%だった。
サーブで相手の攻撃を制限し、返ってきたボールを得点にする。整った攻撃に対しても、ブロックで取り切る。平山、吉武、荒木が、それぞれの仕事で3+1の布陣から得点を奪った。
日本人選手の出番は、3人の布陣の中にもある
外国籍3人とともにコートに立つ日本人選手にも、得点を生む役割がある。
大阪MVの大山遼は、外国籍3人がそろった場面でサーブを9本打ち、チームは4得点。ブレイク率44.4%を記録した。
第4セットには、バトラーのサーブから長いラリーを戦い、大山がアタックを決めて13―11とする場面もあった。外国籍選手のサーブから、日本人ミドルが得点する。3人起用の中で、大山も攻撃の一角を担った。
同じ布陣には田中瑞稀もいた。第3セット、バトラーのサーブから田中がアタックを決め、9―6。外国籍3人がそろう時間帯にも、日本人アタッカーへトスが上がり、得点になっている。
出場機会を得るための強みは、レセプションやディグに加え、サーブで連続得点をつくること、ミドルで攻撃に参加すること、切り返しの一本を決めることにもある。
大山のサーブからの4得点、田中のアタック、平山のサーブと荒木のブロック。開幕節では、日本人選手が外国籍3人の布陣を支え、その布陣を相手にも得点を奪った。
今週末、男子も本格開幕
いよいよ今週末は、男子も本格開幕。世界各国の大砲に加え、セッターやリベロにも世界最高峰の選手がそろう。
昨季はフランス代表で五輪2連覇を果たしたブリザールが、大阪Bを優勝に導いた。今季はその代表のチームメイトで、同じく五輪連覇のリベロ、グレベニコフがWD名古屋の一員として参戦する。
「オンザコート3」が生む化学変化と、その中で存在感を示す日本人選手たちの奮闘。楽しみでしかない。