今季の松本TDは違う!2日連続のフルセット勝利で、昨季に続く開幕2連勝
信州松本トライデンツが、広島サンダーズとの開幕2連戦を、ともにフルセットで制した。Game1は2セットを先取されてからの逆転勝利。Game2は2セットを先取した後に追いつかれながら、最終セットを21―19で取り切った。
昨季に続く開幕2連勝。ただ、その勝ち方には「今季は違う」と期待させるものがある。
昨季も開幕2連勝を飾ったが、その後は白星を積み重ねる難しさに直面し、シーズンを5勝39敗の最下位で終えた。その経験を糧に、新たなチーム名で迎えた今季。追う展開でも、追いつかれる展開でも、最後に勝つ力を開幕2試合で示した。
ラマの2試合49得点。工藤有史の36得点。ジョンの35得点。そして、マックレヴィンディアリス平のアタック決定率78.6%。二日間の10セットには、複数の選手が勝負を動かした数字が詰まっている。
同じフルセット勝利でも、二日間の中身は違った
Game1のセットスコアは、24―26、19―25、25―21、25―22、15―10。
松本TDは最初の2セットを落とした後、3セットを連取した。第3セットを4点差、第4セットを3点差で取り返し、最終セットは5点差。追い上げるだけでなく、最後は点差をつけて勝ち切った。
Game2は、25―23、25―23、23―25、21―25、21―19。
今度は松本TDが2セットを先取し、広島THが追いついた。最終セットでは、相手に3度のマッチポイントを握られた。それでも試合をつなぎ、18―19から3連続得点で決着をつけた。
逆転した翌日に、逆転を許さず勝った。この二つを続けて実現したことが、開幕2連勝の価値を高めている。
チームの攻撃にも、二日続けて数字が残った。
【Game1:松本TD/広島TH】 アタック決定率:52.4%/50.4% サーブレシーブ成功率:43.0%/41.3% 松本TDのアタック得点:66 松本TDのサービスエース:3
【Game2:松本TD/広島TH】 アタック決定率:53.5%/48.1% サーブレシーブ成功率:39.9%/33.3% 松本TDのアタック得点:77 松本TDのサービスエース:9
アタック決定率は二日とも50%を超え、広島THを上回った。Game2はアタック77得点。サービスエースもGame1の3本から9本へ増えた。
相手の攻撃をしのぐだけでなく、自分たちの攻撃とサーブで得点を奪った連勝だった。
ラマが2試合49得点。Game2は57本のサーブレシーブも担った
二日間の最多得点はラマ。Game1で22得点、Game2で27得点を挙げた。
内訳は、アタック41得点、ブロック4得点、サービスエース4本。アタックは84打数41得点、決定率48.8%だった。
Game1では、逆転へ向かった第3セットにアタック4得点、第4セットに6得点。両セットでサービスエースも記録した。2セットを落とした後、松本TDが試合を取り返す攻撃の中心にいた。
最終セットには、アタック2得点にブロック2得点。打って決めるだけでなく、相手の攻撃を止める形でも得点した。
Game2は、アタック45打数23得点、決定率51.1%。バックアタックも10打数6得点と、後衛からも得点を重ねた。
第2セットには、アタックだけで8得点。25―23で取ったセットで、ラマの決定力が大きな得点源になった。
さらに注目したいのが、サーブレシーブ57本という数字だ。
相手のサーブをこれだけ受けながら、アタックもチーム最多の45本を打った。レセプションの成功率は40.4%。ディグも8本を記録した。
受ける仕事を担い、そこから攻撃に入り直して決める。27得点は、その繰り返しから生まれた。
そして最後の21点目は、ラマのサービスエースだった。
19―19から工藤のブロックで20―19。次のサーブをラマが直接得点にした。長いラリーを重ねた試合の最後を、自分のサーブで終わらせた。
工藤有史が最終セットだけで8得点。打って、止めて、サーブでも取った
Game2で、勝負どころの主役になったのが工藤だった。
アタック33打数17得点、決定率51.5%。ブロック4得点、サービスエース3本を加え、24得点を挙げた。
Game1の12得点から倍増。二日間ではアタック29得点、ブロック4得点、サービスエース3本の計36得点を記録した。
そのGame2の24得点のうち、8得点が最終セットに集中している。
アタック4得点、ブロック3得点、サービスエース1本。21点を取ったセットで、工藤が8点を直接生み出した。
14―14に追いつかれた直後には、アタックを決めて15―14。再び並ばれた15―15でも決め、16―15とした。
そして19―19。ラマのサーブで相手のレセプションが乱れ、広島THが上げたボールをマルティネスが打つ。そのアタックを工藤が止め、20―19。松本TDにマッチポイントをもたらした。
工藤はGame2でディグも14本。サーブレシーブ19本を受け、攻撃以外の場面でもボールに関わり続けた。
サーブ時のチーム得点は22回中9回。最大5連続得点も記録した。アタック、ブロック、サーブ、ディグ。一つの仕事にとどまらず、勝利へつながる場面を何度もつくった。
昨季、工藤は43試合に出場し、428得点を挙げた。アタック決定率は40.4%。今季の開幕2試合では48.3%を記録している。
まだ比較する試合数は違う。それでも、昨季から攻撃を担ってきた選手が、開幕から高い決定率を残し、最終セットでは複数の方法で点を取った。その姿は、今季への期待を強くする。
マックレヴィンは決定率78.6%。相手のマッチポイントでも決めた
攻撃の決定力で際立ったのが、マックレヴィンだった。
Game1は16打数13得点、決定率81.3%。ブロック3得点を加えて16得点。
Game2も12打数9得点、決定率75.0%を記録した。
二日間を合わせると、28打数22得点、決定率78.6%。約8割のアタックを得点にした。
Game1では、セットカウント1―2で迎えた第4セットにアタック5得点。試合をフルセットへ持ち込む攻撃を支えた。
Game2の最終セットにも、アタック3得点。そのうちの一つが、18―19から19―19に戻した一打だった。
広島THのマッチポイント。次のラリーを落とせば試合が終わる場面で、松本TDはマックレヴィンのアタックで同点に戻した。
そこから工藤のブロック、ラマのサービスエース。最後の3連続得点は、マックレヴィンのアタックから始まっている。
得点数の多いサイドのアタッカーだけでなく、ミドルの攻撃でも勝負できる。しかも、その攻撃が二日続けて75%以上の決定率を残した。
相手のマッチポイントでも託せる攻撃があることは、接戦を勝ち切るうえで大きな強みになる。
酒井秀輔が序盤をつくり、ジョンが終盤を支えた
Game2は、得点を担う選手の組み合わせにも変化があった。
第1セットから先発した酒井秀輔は、アタック21打数11得点、決定率52.4%。バックアタックも10打数6得点、60.0%を記録した。
第1セットにアタック5得点、第2セットに4得点。連取した二つのセットで、計9得点を挙げた。
昨季の出場は8試合。今季は開幕2戦目の先発機会で、序盤の攻撃を担った。
Game1も途中出場からバックアタックを2本決めている。二日間ではアタック24打数13得点、54.2%。出場した場面で得点を残した。
一方、第4・第5セットに先発したジョンは、Game2でアタック20打数13得点、決定率65.0%。サービスエース2本などを加え、16得点を挙げた。
第4セットにアタック7得点、最終セットにも4得点。試合の後半で攻撃を支えた。
特に16―17。広島THにマッチポイントを握られたラリーで、ジョンが決めて17―17に戻した。
Game1では19得点。アタック15得点にブロック3得点などを加え、ディグもチーム最多の16本を記録していた。
二日間のアタックは49打数28得点、決定率57.1%。計35得点に加え、ディグも計21本。得点とつなぎの両方で、連勝を支えた。
酒井が序盤をつくり、ジョンが終盤で決める。同じポジションを担う選手たちが、それぞれの出場時間で得点を挙げたことも、二日間を勝ち抜いた理由だ。
赤星伸城と伊藤洸貴。セッターが替わっても攻撃をつないだ
Game1で全5セットに先発したのは赤星伸城。Game2も第1セットから第3セットまで先発した。
Game1では、赤星のトスからラマが15得点、ジョンが13得点、マックレヴィンが11得点、工藤が10得点。複数のアタッカーの得点を引き出した。
自らもディグ15本を記録し、守備でボールをつなぐ仕事を担った。
Game2では、赤星のトスからラマが14得点、工藤が10得点、酒井が9得点。先発した酒井も含め、序盤の攻撃を組み立てた。
そして第4・第5セットに先発したのが伊藤洸貴だった。
Game2で、伊藤のトスからジョンは18打数11得点。ラマは13打数6得点、工藤は8打数5得点、マックレヴィンは5打数5得点を記録した。
中でもマックレヴィンとの組み合わせは、5本すべてが得点につながった。ラリーの最後に決める選手だけでなく、そこへボールを届けるセッターの働きも、攻撃の数字に表れている。
伊藤自身もディグ6本。攻撃を組み立てながら、自ら拾って次の攻撃へつないだ。
二日間で10セット。長い戦いの中で、セッターとアタッカーの組み合わせを変えながら、最後まで得点を取り続けた。
安部翔大のブロックで初戦を締め、松尾敬介が二日とも14ディグ
Game1の最後の1点を取ったのは、安部翔大のブロックだった。
14―10から相手の攻撃を止め、15―10。2セットを落としてからの逆転勝利を完成させた。
安部はこの試合、アタック5得点、ブロック3得点の計8得点。サーブ19本の間にチームが挙げた得点は8で、ラマに次ぐ数字だった。
Game2も全5セットに先発し、二日間で14得点。アタックとブロックに加え、サーブからも攻撃のきっかけをつくった。
その後ろで守備を支えたのが、リベロの松尾敬介だ。
ディグはGame1もGame2も14本。二日間で28本を記録した。
サーブレシーブも二日間で38本。Game1では20本、Game2では18本を受けた。連日フルセットとなった試合で、継続して守備を担った。
Game1の逆転も、Game2の接戦も、アタックを打てるところまでボールをつながなければ始まらない。ジョン、赤星、工藤らとともに、松尾のディグが攻撃の機会を生んだ。
昨季と同じ2連勝。その先への期待は、勝ち方にある
昨季も、VC長野として臨んだ開幕2連戦を連勝した。日鉄堺BZを相手に、二日とも3―1。その後は、開幕の勢いをシーズンを通した白星につなげる難しさも経験した。
だからこそ、今季の2連勝を、ここから続けていきたい。
その期待を支えるのは、二日ともフルセットを取ったという結果だけではない。
Game1は2セットダウンから3セットを連取。Game2は追いつかれ、最終セットで3度のマッチポイントをしのいだ。
ラマが二日間で49得点を挙げ、工藤は攻撃・ブロック・サーブのすべてで最終セットを動かした。マックレヴィンは高い決定率を残し、酒井とジョンが異なる時間帯で得点を重ねた。赤星と伊藤が攻撃を組み立て、松尾が拾い、安部が止めた。
Game2の18―19からは、アタック、ブロック、サービスエースで3連続得点。一人の連続決定に頼らず、三人が異なる方法で勝利を引き寄せた。
「今季は違う」。そう期待させるものが、この開幕週にはあった。
信州松本トライデンツが広島サンダーズとの10セットで示した、追い上げる力と、追いつかれても勝ち切る力。昨季に続く開幕2連勝を、その先の白星へつなげるための材料は、選手一人ひとりの数字の中に揃っている。