フラーゴラッド鹿児島はどこまでやれる? 北海道イエロースターズの健闘から探る初勝利への道
北海道イエロースターズが、東京グレートベアーズから2セットを奪った。
10月17日の開幕戦は、セットカウント2―3。新規参入クラブが初戦からフルセットの接戦を演じた。その翌週、フラーゴラッド鹿児島も最高峰リーグでの第一歩を踏み出す。
開幕カードは日鉄堺BZとのアウェー2連戦。北海道YSが競り合った数字をたどると、F鹿児島にも期待したい攻撃と、勝負を動かすプレーがある。
張だけではなかった。重留とクヴァーレンも二桁得点
北海道YSの初戦は、張育陞が17得点、重留日向が16得点、クヴァーレンが13得点。三人のサイドアタッカーが二桁得点を記録した。
重留はアタック30打数14得点、決定率46.7%。昨季のVリーグでは521打数250得点、48.0%だった。昨季移籍加入したアタッカーが、SV初戦でも多くのトスを引き受け、得点源になった。
クヴァーレンは18打数11得点、決定率61.1%。張にボールを集めるだけでなく、両サイドから得点を生み出したことが、東京GBとの接戦につながった。
F鹿児島でも、複数のアタッカーから得点する形を期待したい。
迫田郭志は昨季531得点。アタック967打数472得点、決定率48.8%を記録した。長友優磨も512得点、アタック913打数454得点で49.7%。二人とも多くのトスを引き受けながら、ほぼ半数を決めてきた。
そこに今季はバイアム、エルサーらが加わる。新加入選手と迫田、長友をどう組み合わせ、得点を生み出すか。北海道YSが初戦で見せた攻撃の広がりは、F鹿児島にも楽しみなテーマだ。
Vで残した決定率を、SVでどこまで発揮できるか
重留の初戦は、Vリーグで残した数字に近い決定率を、SVでも記録した一例になった。
F鹿児島の迫田と長友にも、まずはその攻撃力を期待したい。ただし、今季は対戦相手も攻撃陣の組み合わせも変わる。昨季と同じ本数のトスが上がるとは限らない。
そこで、得点とともに見たいのが打数と決定率だ。
仮に二人が30本ずつ打った場合、昨季と同じ決定率なら、アタック得点は合計約30点。二人とも45%なら27点、40%なら24点になる。
同じ60本のアタックでも、決定率によって3点、6点と違いが生まれる。
北海道YSが東京GBと競った初戦のチームアタック決定率は45.6%。F鹿児島でも、サイドが45%前後で決められるかは、一つの注目点になる。
迫田や長友が昨季に近い決定率を発揮し、新加入アタッカーも得点する。そうなれば、セッターは複数の選手へトスを託せる。相手が一人のアタッカーに狙いを絞りにくい攻撃をつくりたい。
接戦を支えた10ブロック。F鹿児島には山田大悟がいる
北海道YSの初戦で、アタックとともに大きかったのが10本のブロックだった。
中谷薫が4本。クヴァーレンとファステランドが2本ずつを記録した。東京GBも10本で、ブロック得点は互角だった。
アタック得点は北海道YSの52点に対し、東京GBが53点。サービスエースは5対6。三つの得点を合わせると67対69で、北海道YSは相手のミスによる得点を除いても競り合っていた。
F鹿児島で、ネット際の得点を期待したいのが山田大悟だ。昨季は108セットで60ブロック、1セット平均0.56本。アタックでも172得点を挙げた。
今季はティーニスマー、カストロもミドル陣に加わる。サイドのアタッカーが得点するだけでなく、ミドルが相手の攻撃を止める。その一本が、サーブからの連続得点につながる。
北海道YSの中谷が初戦に4本を止めたように、F鹿児島でもミドルがまとまったブロック得点を挙げられるか。競り合いを一歩抜け出すために期待したいプレーだ。
長友の37本、迫田の21本。サーブから攻める武器
F鹿児島は昨季、チームで210ブロック、サービスエース100本を記録した。108セットで計310点、1セット平均2.87点になる。
北海道YSが競った初戦は、ブロック10本とエース5本で、1セット平均3点。対戦相手は異なるが、F鹿児島にも昨季、サーブとブロックで得点してきた実績がある。
長友はエース37本、迫田は21本。二人でチームの58%を記録した。
エースで直接得点することに加え、相手のレセプションを崩せば、ブロックで待ち構える機会も生まれる。長友や迫田のサーブと、ミドル陣のブロックをつなげたい。
開幕戦の相手、日鉄堺BZには、高梨健太らがいる。強力なアタッカーへ上がるトスに、F鹿児島のブロックがどこまで対応できるか。
どの選手のサーブから連続得点が生まれるか。その始まりとなる一本にも注目したい。
新しい攻撃陣を、酒井と原がどう組み立てるか
今季のF鹿児島は、アタッカーの選択肢が増えた。
オポジットには長友とバイアム。アウトサイドには迫田、主将の峯村雄大に、エルサー、小澤宙輝、笠利真吾らがいる。攻撃力とレセプションをどう組み合わせるか、起用も見どころになる。
セッターには原亜久里に加え、東レ静岡から酒井啓輔が加入した。酒井は昨季、SVで86セットに出場している。
迫田が多くのトスを引き受けるのか。バイアムが得点を重ねるのか。ミドルへの攻撃を、どれだけ織り交ぜるのか。二人のセッターが新しいアタッカー陣をどう動かすかによって、攻撃の形も変わってくる。
北海道YSの初戦では、張、重留、クヴァーレンに加え、中谷もアタックで5得点を挙げた。F鹿児島でも、サイドとミドルの両方から得点できれば、相手ブロックに複数の攻撃を警戒させられる。
初勝利へ、競り合いを取り切る一本を
北海道YSの初戦を踏まえると、F鹿児島で追いたいのは、複数のアタッカーの決定率と、サーブ・ブロックによる得点だ。
サイドが45%前後で決め、ブロックとエースで1セット3点前後を積み上げる。これを開幕戦を見る一つの目安にしたい。そこから終盤の一本を取り切れるかが、セット獲得、そして初勝利へつながる。
10月24、25日の相手、日鉄堺BZもネベス、ラモン、サーレマーらを迎えて新しいシーズンに入る。大宅が組み立てる攻撃に、F鹿児島がサーブとブロックで挑む。新戦力同士の対戦にも注目が集まる。
そして10月31日、11月1日には、フラーゴラッド鹿児島がホーム開幕戦で北海道イエロースターズを迎える。
ともに新しい舞台へ踏み出した2クラブが、どんな攻防を繰り広げるのか。「新規参戦ダービー」が楽しみだ。