ヴォレアスがサントリーにVリーグ時代を含めリーグ戦初勝利!データで探る、接戦を勝ち切った理由
ヴォレアス北海道が、サントリーサンバーズ大阪から、前身のVリーグ時代を含めてリーグ戦初勝利を挙げた。天皇杯では勝利しているが、Vリーグ、SVリーグを通じたリーグ戦では初めて。10月25日、Asueアリーナ大阪で行われたGame2で、最終セット25―23の激闘を制し、セットカウント3―2で歴史的な一勝をつかんだ。
前日のGame1も、アタック決定率をはじめ、多くの主要スタッツでヴォレアスが上回っていた。総得点でも95―93。それでも、2点差の3セットをサントリーが取り切り、ヴォレアスは1―3で敗れた。
そしてGame2。再びアタック決定率、サーブ効果率、ブレイク率、サイドアウト率で上回り、サーブレシーブ成功率でも優位に立った。最後は3度のマッチポイントをしのぎ、勝利を決める2点を自分たちのアタックで奪った。
数字で示した力を、今度こそ勝利につなげた。その違いはどこにあったのか。タイムアウト後の得点経過と、勝負どころを担った選手たちの活躍から、リーグ戦初勝利の中身を掘り下げる。
Game1から、勝利を争うだけの数字は揃っていた
まず、二日間の主要スタッツを並べてみたい。
【Game1:ヴォレアス/サントリー】 アタック決定率:53.9%/49.6% ブロック得点:10/6 サービスエース:7/7 サーブ効果率:12.5%/10.9% サーブレシーブ成功率:36.3%/37.0% ブレイク率:32.3%/30.4% サイドアウト率:69.6%/67.7% 総得点:95/93
【Game2:ヴォレアス/サントリー】 アタック決定率:48.3%/42.4% ブロック得点:12/12 サービスエース:8/3 サーブ効果率:13.6%/7.5% サーブレシーブ成功率:40.2%/31.8% ブレイク率:36.4%/34.2% サイドアウト率:65.8%/63.6% 総得点:118/114
Game1は、攻撃、ブロック、サーブ、ブレイク率、サイドアウト率、さらに総得点でもヴォレアスが上回っていた。サービスエースは同数。サーブレシーブ成功率はサントリーがわずかに上回ったが、ヴォレアスが多くの主要指標で優位に立っていたことが分かる。
それでも、セットスコアは23―25、25―17、24―26、23―25。落とした3セットは、すべて2点差だった。第2セットで8点差をつけた一方、接戦となったセットはサントリーが取り切った。総得点の優位と試合の勝敗が分かれた理由は、ここにある。
Game2では、サーブレシーブでもヴォレアスが上回り、サービスエースは8―3。サーブ効果率の差も広がった。二日続けて主要スタッツで優位に立ったうえで、最後の接戦を自分たちのものにした。
タイムアウト後の得点率は44.8%から56.0%へ
勝負どころの変化を探るうえで、タイムアウトは一つの手がかりになる。
ヴォレアスが取ったタイムアウト後、最大5ラリーを集計すると、Game1は29ラリーで13得点、得点率44.8%。Game2は25ラリーで14得点、56.0%だった。セット終了まで5ラリーに満たない場合は、その時点までの数字だ。
Game1で印象的なのは、第3セット。ヴォレアスは22―20でタイムアウトを取ったが、その後の5ラリーは2得点。23―23でもタイムアウトを取り、直後に得点してセットポイントを握ったものの、そこからサントリーが3連続得点でセットを取った。
Game2は、同じように競り合いになっても、タイムアウト後に得点を重ねて踏みとどまった。
第4セット20―20では、タイムアウト明けから2連続得点。第5セット19―20では、サントリーにマッチポイントを握られたところでタイムアウトを取り、直後のアタックを決めて20―20に戻した。
ただし、タイムアウト直後の1ラリーを取った回数は、両日とも6回中4回。Game2になって最初の1点を取る回数が増えたわけではない。その後も含めて、相手に得点を重ねさせず、自分たちも取り返したことが違いだった。
サントリーもGame2では、自ら取ったタイムアウト後の45ラリーで28得点、62.2%を記録している。タイムアウトの数字だけで勝敗を説明することはできない。
それでも、最も重要な19―20で、ヴォレアスがタイムアウト明けの1点を取った事実は大きい。そこで決めたのが、Game2の攻撃を支えた池田幸太だった。
池田幸太が24得点。決定率65.6%、最終セットでも7本
Game1からGame2への変化を、最も鮮やかに示したのが池田だ。
Game1はアタック16打数8得点、決定率50.0%。サービスエース2本を加え、10得点だった。
Game2は、アタック32打数21得点、決定率65.6%。サービスエース2本、ブロック得点も加えて24得点。打数が倍になりながら、決定率も15.6ポイント上げた。
チームのアタック70得点のうち、池田が21得点。実に30.0%を一人で挙げた。
しかも、得点が試合の一部に偏っていない。第2セットにアタック5得点、第3セットに6得点、第4セットに3得点。そして最終セットに7得点。セットを追うごとに重要性が増す場面で、繰り返し決めた。
第5セットでは、10―11から同点に戻すアタックを決め、次のラリーも決めて12―11。13―12からは14点目を奪い、最初のマッチポイントを引き寄せた。
さらに18―18で決めて19―18。そして19―20のタイムアウト明けにも決めた。
このタイムアウト明けは、サーブレシーブが乱れた場面だった。それでも山岸隼が上げたボールを池田が決め切った。相手にマッチポイントを握られた状況で、整い切らない攻撃から同点の1点を取った。その一打に、この日の池田の頼もしさが表れている。
攻撃だけではない。サーブレシーブは29本を受け、成功率41.4%。ディグはチーム最多の16本。受けて、拾って、打つ。24得点の背後には、ラリーを続ける仕事も詰まっていた。
第4セットにはサービスエースを2本記録。18本のサーブで効果率22.2%を残し、池田のサーブ時には7得点を挙げた。得点源としても、守備の担い手としても、大きな存在だった。
タンメアルは28得点。最後の3本で勝利を引き寄せた
チーム最多の28得点を挙げたタンメアルも、Game1から大きく得点を伸ばした。
Game1はアタック19打数9得点、ブロック3得点で計12得点。Game2は46打数24得点、決定率52.2%。ブロック4得点を加えた。
アタック打数はチーム最多。バックアタックも10打数5得点と、前衛・後衛の両方で得点を重ねた。
第1セットにアタック5得点、第2セットに6得点。ヴォレアスが2セットを連取した序盤から、攻撃を引っ張った。第4セットにも6得点。そして最終セットには、池田と並ぶ7得点を挙げている。
なかでも、終盤の働きは決定的だった。
21―22。サントリーにこのセット3度目のマッチポイントを握られたラリーで、タンメアルは一度拾われたアタックを、もう一度打って決めた。外崎航平のディグでつないだボールを山岸が上げ、22―22に戻した。
そして23―23から、24点目を決めたのもタンメアル。最後の25点目もタンメアルだった。
21―22から試合終了までにヴォレアスが挙げた4得点のうち、3点がタンメアルのアタック。最も重い局面で、託されたボールを得点に変えた。
ブロックでも、第1セットから第4セットまで毎セット1得点ずつ。サーブレシーブ29本、ディグ10本という数字も残した。46本を打ちながら、守備にも関わり続けた28得点だった。
三好佳介の3本のアタックと、22―22からのエース
最終セットを詳しく見ると、池田とタンメアルの間に、三好佳介の得点が何度も入っている。
三好のアタックは、Game1が12打数8得点、決定率66.7%。Game2も11打数6得点、54.5%だった。二日続けて、半分以上のアタックを得点にしている。
Game2では、その6得点のうち3得点を最終セットで挙げた。
7―7から8―7。15―15から16―15。そして20―21から21―21。
特に20―21は、サントリーのマッチポイント。そこで山岸が選んだのは三好だった。タンメアルのサーブレシーブから山岸が上げ、三好が決める。サイドのアタッカーだけに頼らず、ミドルの攻撃でも同点に戻せたことは大きい。
さらに22―22では、三好がサービスエース。23―22と勝ち越し、ヴォレアスに再びマッチポイントをもたらした。
この試合、三好はアタック6得点を含む8得点。最終セットだけでアタック3得点とサービスエースを挙げた。試合全体の得点数以上に、最後のセットでの存在感が際立つ。
サーブ18本で効果率16.7%。三好のサーブ時には7得点を挙げ、最大で3連続得点も記録した。アタックとサーブの両方で、接戦の得点源になった。
山岸隼はサーブで12得点を生み、勝負どころの攻撃を組み立てた
その攻撃を組み立てた山岸も、勝利の中心にいた。
池田、タンメアル、ダール、三好、タンメマー。Game1と同じ先発陣で臨みながら、Game2では異なる得点の組み合わせでサントリーを攻めた。
山岸のトスから生まれたアタック得点は、タンメアルが22、池田が16、タンメマーが7、三好とダールがそれぞれ6。Game1では山岸のトスからダールが15得点していたが、Game2はタンメアルと池田へのトスが、多くの得点につながった。
最終セット19―20では池田。20―21では三好。21―22では、ラリー中にもう一度タンメアル。3度のマッチポイントをしのいだ攻撃は、すべて山岸のトスから生まれている。
ここには、受け手の決定力とともに、複数の攻撃を選べる強さがあった。
山岸自身のサーブにも注目したい。
Game2は26本を打ち、サーブ効果率19.2%。山岸のサーブ時にチームが挙げた得点は12で、ヴォレアスの選手で最も多かった。チームの43ブレイクのうち、12点が山岸のサーブ時の得点だった。
第4セットにはサービスエース。最後の24―23でもサーブを打ち、相手のサーブレシーブを乱した。そこからブロックとディグでつなぎ、山岸が上げてタンメアルが決めた。
トスで攻撃を動かし、サーブで攻める。ディグも10本。最終ポイントまで、山岸の仕事が得点につながっていた。
タンメマーの3エース、ダールの4ブロック。得点の取り方は一つではなかった
タンメマーは、サービスエース3本でチーム最多。アタック7得点などを合わせて11得点を挙げた。
第3セットにサービスエース2本、第4セットにも1本。サントリーが追い上げる中でも、サーブから直接得点を奪った。タンメマーのサーブ時には8得点、最大4連続得点を記録している。
第5セットは最初の1点をアタックで取った。そして最後のラリーでは、チチゴイのアタックにブロックで触り、外崎のディグにつないだ。得点となるブロックだけでなく、ラリーを続けるブロックも、勝利の最後の一打につながっている。
ダールも、ブロック4得点でタンメアルと並びチーム最多だった。
Game1はアタック17得点、サービスエース4本などで22得点。Game2はアタック10得点とブロック4得点などで15得点を挙げた。
Game1で攻撃とサーブを引っ張った選手が、Game2ではブロックでも得点を重ねる。第1セットに2本を止め、第3セットと最終セットにもブロック得点を挙げた。
ディグも10本。最終セット終盤にはチチゴイのアタックを拾い、味方の攻撃へつないでいる。
池田とタンメアルが攻撃で得点を伸ばし、三好が最終セットで決め、タンメマーがサーブで攻め、ダールがブロックで止める。Game1と同じ顔ぶれの中で、異なる選手が異なる方法で点を取った。そこに、Game2の厚みがあった。
外崎航平が35本を受け、最後のボールも拾った
攻撃陣の活躍を支えたのが、リベロの外崎だ。
Game2のサーブレシーブはチーム最多の35本。成功率47.1%を記録した。チーム全体でも成功率はGame1の36.3%から40.2%へ上がり、サントリーを上回った。
ディグは13本。最終セットの重要なラリーにも、その仕事が残っている。
21―22では、パロンスキーのアタックを拾い、タンメアルの同点打につないだ。
23―23では、サーブレシーブから山岸、タンメアルへとつなぎ、24―23。
最後のラリーも、タンメマーのブロックタッチの後を外崎が拾った。山岸が上げ、タンメアルが決める。勝利を決めたアタックの前には、守備でボールをつないだ選手たちがいた。
最終セットのヴォレアスは、相手サーブの23ラリー中18ラリーで得点。サイドアウト率78.3%を記録した。
第3セットは50.0%、第4セットは52.0%だったが、最後のセットで高い数字を残した。接戦の中で相手に連続得点を許さず、攻撃の機会を得点に変え続けた。外崎を軸とする守備と、そこからの攻撃が、その数字を支えていた。
タイムアウトで踏みとどまり、その先を選手たちが取り切った
Game1は、総得点で上回りながら、2点差のセットをサントリーが取り切った。Game2も、ヴォレアスが2セットを先取した後、サントリーが追いついた。最終セットでも、19―20、20―21、21―22と、3度のマッチポイントを握られた。
そこで池田、三好、タンメアルが、それぞれ決めた。
タイムアウト後の得点率は上がった。最も苦しい19―20でも、タイムアウト明けに得点した。ただ、そこから試合を決めるまでには、さらに何度も同点に戻し、得点を取り直す必要があった。
池田とタンメアルは最終セットだけでアタック各7得点。三好は3得点に加え、22―22からサービスエース。最後はタンメアルが2本続けて決めた。
その前には、山岸のトスがあり、外崎のディグがあり、タンメマーのブロックタッチがあった。
ヴォレアス北海道がサントリーサンバーズ大阪からつかんだ、Vリーグ時代を含めてリーグ戦初となる勝利。二日続けて示した主要スタッツの優位に、接戦を取り切る一打と、それを支えるつなぎが重なった歴史的な一勝だった。