男子もいよいよ開幕。北海道YSは東京GBにどう挑む?――数字で描く両チームの勝ち筋
10月17、18日、有明コロシアム。SVリーグ初参戦の北海道イエロースターズは、東京グレートベアーズとの対戦で新しい舞台に踏み出す。昨季Vリーグで磨いた武器は、SVの相手にどこまで通用するのか。カテゴリーの違いを補正し、両チームの数字から開幕戦の勝ち筋を考える。
比較にあたり、セッターを除く、SVとVの両方を経験した選手のアタック決定率を分析し、カテゴリー間の差を表す指数を算出した。今回はその77.2%を補正係数として、昨季Vリーグの成績をSV基準へ換算する。昨季SVでプレーした張 育陞らの成績には、補正をかけていない。
ブロック、サービスエース、サーブレシーブにも同じ係数を適用した仮想比較だ。77.2%はアタック決定率から求めたもので、他の項目への適用は今回の試算上の仮定となる。
サイドの攻撃は東京GB、北海道YSを支える張の48.1%
主なサイドアタッカー3人の成績を、昨季の打数で重み付けして比較すると、東京GBのアタック決定率は46.6%。北海道YSは補正後で43.2%となった。
東京GBはクレクが46.1%、ヴィセンティンが48.9%、後藤 陸翔が44.8%。3人とも44%以上を記録しており、複数のサイドから得点を期待できる。
北海道YSでは、張の48.1%が大きな支えになる。昨季SVで1110本のアタックを打ち、534本を決めた実績だ。一方、山田 滉太は換算後40.7%、クヴァーレンは38.5%。数字の上では、張以外のサイドがどれだけ得点につなげられるかが課題となる。
両チームの差は3.4ポイント。北海道YSは、サーブやブロックによる得点で、この攻撃の差を埋めたい。
北海道YSが勝つなら、山田のサーブと中谷のブロック
山田は昨季、364本のサーブで35本のサービスエースを記録した。エース率9.6%を補正すると、7.4%。東京GBのヴィセンティンの7.7%に近く、サーブは北海道YSが勝負できる項目だ。
エース率・SV換算 ヴィセンティン/東京GB:7.7% 山田 滉太/北海道YS:7.4% 柳田 将洋/東京GB:6.3% 張 育陞/北海道YS:6.0% 都築 仁/北海道YS:5.2%
ネット際では、中谷 薫が昨季86セットで76本のブロックを記録。1セット平均0.88本を補正しても、0.68本となる。東京GBのクレクは0.45本、村山 豪は0.44本。今回の換算では、中谷のブロックは北海道YSの強みとして残った。
北海道YSが勝つ展開を描くなら、山田のサーブで相手を崩し、中谷のブロックで連続得点につなげる形だ。そして相手のサーブを受ける場面では、張の48.1%の攻撃を軸に得点を重ねる。
張以外の選択肢もある。都築の換算決定率は44.5%、島 波輝は51.0%。サイド全体の決定率では東京GBに届かなくても、サーブ、ブロック、中央の攻撃を組み合わせれば、北海道YSがセットを奪う筋は見えてくる。
東京GBが勝つなら、サイドと中央の両方で取り切る
東京GBの強みは、サイドに加えて、中央にも決定率の高い選手がいることだ。
AT決定率・SV換算 コザメルニク/東京GB:59.2% 伊藤 吏玖/東京GB:52.9% 村山 豪/東京GB:52.3% 島 波輝/北海道YS:51.0% 中谷 薫/北海道YS:47.0%
東京GBが勝つとすれば、北海道YSのサーブに攻撃の選択肢を制限されず、中央の決定率を生かす展開になる。サイド3人の合算で46.6%、中央には50%を超える選手が複数いる。レセプションを整え、サイドと中央の両方から得点できれば、数字上の優位を勝利へつなげられる。
ただし、東京GBにもサーブレシーブの課題はある。昨季のSR成功率はヴィセンティン48.2%、後藤49.0%、柳田50.5%。古賀 太一郎は58.3%だった。山田の換算エース率7.4%を考えると、北海道YSのサーブを受ける場面は重要な勝負どころになる。
北海道YSの主なレセプション担当は、換算後で山田55.8%、クヴァーレン52.3%、新山 駿61.5%。今回の試算では、レセプションが北海道YSの一方的な弱点になるとは出ていない。東京GBはヴィセンティンや柳田のサーブで、北海道YSの攻撃の選択肢を減らしたい。
オンザコート3+1で、中央の外国籍選手も鍵に
オンザコート3+1も、開幕戦を考える上で押さえておきたい。東京GBがクレク、ヴィセンティン、コザメルニクを同時に起用すれば、昨季AT決定率46.1%、48.9%、59.2%の3人をサイドと中央に配置できる。
北海道YSの張はアジア特別枠。クヴァーレン、ファステランドと同時に起用しても、一般の外国籍枠を使うのは2人分となる。
ただし、今回の数値比較には、昨季の比較データがないファステランドを含めていない。北海道YSが外国籍ミドルを加えて中央から得点できれば、張やアウトサイドヒッターの攻撃を支える新たな選択肢になる。ここは、サイド3人の数字だけでは捉えられない要素だ。
攻撃の差を生かす東京GB、別の得点で埋める北海道YS
東京GBの勝ち筋は、レセプションから攻撃の選択肢を保ち、サイドと中央の決定率を生かすこと。北海道YSの勝ち筋は、張の攻撃を支えに、山田のサーブと中谷のブロックで連続得点をつくることだ。
東京GBは攻撃の数字で得点を積み重ねられるか。北海道YSはサーブとブロックで、その差を埋められるか。そしてファステランドを加えた中央の攻撃が、北海道YSにどれだけ得点をもたらすか。
新参戦という肩書だけでは見えない武器が、北海道YSにはある。その武器をSVの相手にどう組み合わせるか。開幕戦は、北の新勢力の現在地を知る一戦になる。